書評:ヤンキーの虎 (藤野英人)

私は、ひふみ投信を運用する藤野英人さんを尊敬しています。ひふみ投信を保有し、保有銘柄の変化を観察しながら考えを推察して勉強させてもらっています。
 
そんな藤野さんが書いた、『ヤンキーの虎』。人口減少など悲観的なニュースが飛び交う地方経済で業績を伸ばす経営者について書かれています。参考になった言葉は、「地元のマーケット自体は縮小していますが、だからこそ、地元でのんびり経営していた会社が次々と淘汰され、ヤンキーの虎たちがシェアを奪うことができるのです」
 
縮小している市場に目をむけることは難しいです。何しろ、そこに属しているもの全てが悪く見えてしまう。一方で、成長市場や地域という追い風を受けている企業は成長ストーリーを描きやすいものです。例えば、スマホの普及率が高まる → スマホでゲームする人が増える という推論から、ゲームアプリ企業がテレビゲーム企業に比べて魅力的に見えたりします。また、経済成長率の高い新興国にある企業が日本企業に比べて魅力的に見えたりします。
 
しかし、成長市場・地域は誰にも魅力的に見えるので新規参入が続きます。それに比べて、衰退市場・地域には新規参入が少ないという長所があります。つまり、競争優位性を持続させることは、実は衰退市場においての方が簡単なのかもしれません。投資においては、収益力に直結する競争優位性の持続力の評価が何より重要だと思っています。その観点から言えば、衰退市場・地域における勝ち組企業に目を向けるのは理にかなった投資戦略だと思います。

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出典:大前研一ケーススタディ

 
最後に、実例としてニトリ(9843)を見てみましょう。1972年に北海道で起業して日本を制し、これから海外に打って出ようとしています。国内家具市場規模は1990の6兆円をピークに20年かけて3兆円まで下がりました。いかにも魅力がない市場と考えるのか、半減しても3兆円もの市場があるから十分商売になると考えるのか。ニトリは製造から販売まで一気通貫で社内完結させる仕組みを国内の家具会社として唯一整え、ビジネスモデルの差をもって衰退市場の中で29年連続増収増益を達成しています。市場が悪いからと決めつけて成長企業を見逃さないように注意したいものです。